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インドの神さまは今日も大忙し Ⅱ(その4)

©Matsumoto Eiichi

ドゥルガー女神が跨るのはトラなのかライオンなのか?

ドゥルガーはシヴァ神の妃のなかでもっとも勇猛な女神である。パールヴァティーがヒマーラヤとメーナーの娘という出自をもつのに対し、ドゥルガーは神がみが敗北を喫した最強の悪魔王にリヴェンジするために、あらゆる神がみが集って、彼らのもつ最強の武器と威力を合体させて造った戦闘員なのだ。ドゥルガー誕生の詳しい状況は、このシリーズの一つ前の「バナーラス風物詩 その6」(2023年6月)に書かせていただいたので、ぜひ参照のほどを。

今回の写真はカルカッタ(現コルカタ)で祝われる秋のドゥルガー・プージャーの最終日に、ガンジスの岸辺に運ばれてきた女神である。水牛の姿をした悪魔マヒシャースラをようやくのことで打ち倒す瞬間を造形化したものである。鬼気迫る戦闘で少しやつれているが、それが返って美形を際立たせている。このあとガンジスの派流フグリー川に流されると、夫シヴァ神の住むカイラースへと戻っていくのだ。

今回のドゥルガーはライオンに跨っているが、前回の写真ではトラであった。はてさてこれはいったいどう解釈したものか?時間があったら原典に当たってみたいが、今はちょっと動けない。ネットで図像を検索すると、トラのもライオンのも出てくる。どちらでもいいではないかと思うが、伝承の「混乱」だとしたら、原因を究明する必要がある。とは書いたものの、本格的な追究はひとまず置いておいて、次のような思い出話でお茶を濁そう。

ライオンはサンスクリット語でスィンハ、現代のヒィンデー語でスィンフである。同様に、トラは、ヴィヤーグラ、ヴァーグあるいはバーグである。さてだいぶ昔のことだが、バナーラスで一緒に暮らしていた家族の子供たちや近所の子供たちに、動物の絵本を見せながら、いろいろなお話をして楽しんでいた。バナーラスには動物園がなく、テレビもなかった。その子たちに、「バーグ」はどれ、と聞くと、トラの絵を指したり、ライオンの絵を指したりする。どうやら両者の違いを認識していないようなのだ。小さいころから動物園にいったりテレビを観て育つ日本の子供と違って、バナーラスっ子には判別する経験が少なかったに違いない。

神さまたちにそれぞれの乗り物(ヴァーハナ)が配されるようになった正確な時期は不明だが、バラモン教からヒンドゥー教へと変わっていく紀元前2世紀以降、神さまも配偶神をもつような時代になってからのことだと考えられる。シヴァ神の乗り物はナンディンという牛だ。シヴァ神は家畜の主(パシュパティ)という別名があり、家畜の増殖を司る神なので、ナンディンほど相応しい乗り物はない。ヴィシュヌ神は霊鳥ガルダ、ブラフマー神はハンサ鳥、その妃サラスヴァティーは孔雀、とやはりスピード感あふれる鳥類は人気の乗り物だ。

シヴァ神の息子カールッティケーヤも孔雀で、美しい羽根を広げた巨鳥に跨って滑空するさまが、あまりにも華麗なので、仏教に入って韋駄天と呼ばれた理由も納得できる。面白いのは、ヴィシュヌ神の妃ラクシュミーの乗り物で、智慧の象徴とされる梟なのだが、乗っている姿はあまり見られない。普通は紅蓮の上に立つか座って、2頭の象に灌頂されているガジャ・ラクシュミーという図柄が人気がある(ガジャは象の意)。帝釈天インドラは白象に乗る。アイラーヴァタ(大海から生まれた者)という名で、鼻から吸い上げた水を噴霧して雲を編むといわれ、それをインドラが雨にする。

ガンガー女神はマカラという海獣に乗る。ワニやガンジス川イルカなどをもとにした想像上の魚類である。シヴァ神の憤怒の相であるバイラヴァには犬が配されているが、インドの日常生活でもっともこわいのが野犬の群れに襲われることなのだ。友人の家を訪ねて帰ろうとしたら、あまりに野犬が騒ぐので、今晩は泊まっていきなさいと何度もいわれたものだ。バナーラスのカーラ(黒)・バイラヴァ寺院はもっとも恐ろしい場所といわれ、バイラヴァの信徒以外は訪れない。ヤマ(閻魔)の乗り物は水牛だが、牛と違って神さま扱いしてもらえない。水牛のミルクのほうが牛のものより栄養価が高いといってこぞって買い求めるのに。そのほか、馬だの牡羊だの鸚鵡だの猫だの鶏だの、リストを挙げていったら切りがない。

最後に一番可愛らしい組み合わせをあげておこう。象頭神ガネーシャとネズミの乗り物である。もちろん乗った姿はなく、前をウロチョロしている。あらゆる障碍を取り除く神として崇拝されているが、小さな対象には注意が向かない。そんなときネズミの智慧が光るのである。さてこのネズミ、ただ者ではない。私の受講生の社会人女性が孫のためにミッキーマウス・クラブのサイトにたどり着き、秘密の扉を開ける呪文を一緒に唱えようと言われて流れてきたのが次の言葉である。「ムースカ・ムーシカ・ミッキーマウス!」最初の言葉は、なんと二つともネズミを表すサンスクリット語であった。つまり、「ネズミよネズミ、ミッキーマウス!」が秘密の言葉だったのだ。ミッキーがサンスクリットを操れるとすると、遥か遠いインドからガネーシャ神が送り込んだ平和の使者のネズミなのかも知れない。

文:© 宮本 久義(Hisayoshi Miyamoto)

写真:© 松本 榮一(Eiichi Matsumoto)

※文および写真の転載を禁じます。

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更新日:2025.04.09

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