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インドの神さまは今日も大忙し Ⅱ(その1)

©Matsumoto Eiichi

霊峰カイラース

雪煙たなびくカイラース山の北西面である。海抜6656メートル。実に荘厳で美しい。神話上の山だと思っていたカイラースが実在すると知ったのは、昔インドに留学したときである。バナーラスの知り合いの電気技師のおじさんが、ここから北に向けて何か月も歩いていけばカイラースという山があり、そこでシヴァ神とその神妃パールヴァティーに会えるかもしれないと、遠くを見つめるような眼をして語ってくれた。

シヴァ神はカイラース山で苦行に励んでいるとされる。カイラース山は独立峰で、その屹立する山容自体が、シヴァ神の宇宙的根源力の表徴であるリンガ(男性器)に似ているので、ヒンドゥー教徒は古代より崇拝の対象としてきた。カイラースがさまざまの神話の舞台になってきたのは、これまでにも何度か取り上げてきた通りである。悪魔のラーヴァナがシヴァ神の恩恵を受けたいばかりに、山麓で過酷な苦行に励んだこと、またラーヴァナは兄で財宝神のクベーラから飛行車と世界一美しい都ランカーを奪ったこと、さらには、猿将ハヌマーンがカイラース山とリシャバ山のあいだにある薬草の山を根こそぎランカーまで運んで、全滅寸前のラーマ軍を蘇らせたことなどである。

ラーマ王子の物語をもう少し続けよう。ハヌマーンの活躍により復活したラーマ軍はついにラーヴァナを倒し、悪魔軍は敗北を喫する。ラーマは無事にスィーターを救出することができたが、スィーターがラーヴァナに汚されていない証左を求める民衆の声を押さえられなかったので、スィーターは自ら燃え盛る薪の火中に身を投じた。しかし、火神アグニが、スィーターを抱いて火の外に出し、彼女の身の潔白を証明することになる。

ラーマはラーヴァナの弟でラーマ軍の参謀として大活躍したヴィビーシャナをランカーの国王に任じ、ハヌマーンには薬草の山をカイラースまで戻すように命じた。また、ある神話では、ラーマはスィーターやラクシュマナらとともに、ブラーフマン(バラモン)階級であるラーヴァナを殺戮した罪(バラモン殺し)をあがなうために、南インドのラーメーシュワラムの地にシヴァ神のリンガを建立したとされる。別のヴァージョンでは、ラーマがシヴァ・リンガを建立したのは戦の前の戦勝祈願のためともされている。

シヴァ神とラーマ王子の神話は、カイラース山を通じてこのようにいろいろな場面で交差している。さらに、そればかりではない、サンスクリット語でカイラーサ、チベット語ではカンリンポチェと呼ばれるこの山は、ヒンドゥー教徒だけでなく、仏教徒、ジャイナ教徒、それにチベットで古くから信仰されているポン教徒も崇める、いわば四大宗教の複合的聖地になっている。

かつてここを訪れたイタリアの登山家で、1986年に人類史上初の8000メートル峰全14座の完全登頂(無酸素)を成し遂げたことで知られるラインホルト・メスナーは、「これほど崇められている聖山に登る気はしない」という言葉を残している(1993年1月11日、朝日新聞「未踏峰、21世紀まで残るか」)。この言葉通り、霊峰カイラースがいつまでも未踏のままであることを願ってやまない。

文:宮本 久義(Hisayoshi Miyamoto) 

写真:松本 榮一(Eiichi Matsumoto) 

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更新日:2025.01.07

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