松本榮一のインド巡礼(その4)

スリランカ仏教

 

スリランカの仏教は古くに、アショーカ王の王子マヒンダが伝えたといわれている。

6世紀ごろ書かれたこの国の歴史書「マハーワンサ」(大史)には、マヒンダ王子が、当時のスリランカ王デーワーナンビヤティッサに仏教への帰依を勧めたと書かれている。その後、王をはじめ多くの人々が仏教徒になったと書かれている。アショーカ王の布教活動が、功を奏したわけだ。おそらくそのころにインドからもたらされた、仏陀の「仏歯」がこの国の一番の宝物として、キャンディーの仏歯寺に納められている。

アショーカ王まで遡ることができる、南伝の仏教はスリランカが基になり、ここから、ミャンマー、タイ、ラオスなどに伝わった。インドの仏教がほぼ滅んで、スリランカ仏教のアナガリーカ・ダルマパーラが組織したマハーボーディ・ソサエティがインドの仏教遺跡各地も含め、仏教遺跡を守っている。

©Matsumoto Eiichi

 

松本 榮一(Eiichi Matsumoto

写真家、著述家

日本大学芸術学部を中退し、1971年よりインド・ブッダガヤの日本寺の駐在員として滞在。4年後、毎日新聞社英文局の依頼で、全インド仏教遺跡の撮影を開始。同時に、インド各地のチベット難民村を取材する。1981年には初めてチベット・ラサにあるポタラ宮を撮影、以来インドとチベット仏教をテーマに取材を続けている。主な出版、写真集 『印度』全三巻、『西蔵』全三巻、『中國』全三巻(すべて毎日コミニケーションズ)他多数。

更新日:2023.08.02