ガンディー「知足」の精神⑤

「愚にもつかない一貫性は小心者たちの手先である」

わたしは自分の内に多くの矛盾を認めざるをえない。しかし、わたしが「マハートマ[大いなる魂]」と呼ばれるようになってから、いつしかエマソンのつぎの言葉に賛同するようになったー「愚にもつかない一貫性は、小心者たちの手先である。」わたしの矛盾には、ある道理・筋があるのではないかと、考えている。わたしの見解では、わたしの外見的な矛盾には、一貫して同一性が流れていると思う―ちょうど自然にあって、表面的な多様性の奥に統一性(ユニティー)が流れているように。

わたしは、自分に納得のできない、あるいは道徳的・精神的な基盤に立って擁護できないような前例や慣習の奴隷になること[無条件に従うこと」を拒否する。

人類の将来を信じて疑わぬ

わたしはどうしようもない楽観主義者(オプティミスト)である。というのは、わたしは自分自身を信じているからである。このような言い方をすると、たいへん傲慢に聞こえるかもしれないが、わたしはほんとうに謙虚な気持ちでこれを言っているのである。わたしは神の超絶した力を信じており、真理を信じている。それゆえに、わたしはこの国の将来を、言いかえると、人類の将来を信じて疑わぬのである。

正義が勝利するという信仰

わたしはどこまでも楽観主義者(オプティミスト)である。それは、正義がいま栄えつつあると言えるような、なんらかの証拠を示しうるからではなく、最終的に正義が栄えるにちがいないとの、ゆるがぬ・・・・信仰をいだいているからで である。……最後には正義が勝利するにちがいないという信仰があればこそ、わたしたちの心に霊感(インスピレーション)がひらめくのである。

(森本達雄 編訳『ガンディー「知足」の精神』〔人間と歴史社]、第9章「非暴力」の人生観より)

『サルボダヤ』8月号(一般社団法人 日印サルボダヤ協会、2020年)より転載

一般社団法人 日印サルボダヤ交友会:http://sarvodaya-japan.org/index.php

更新日:2020.09.17