書籍紹介:『タゴール 10の物語』

『タゴール 10の物語』
ラビンドラナート・タゴール 著
大西正幸 訳・解説
西岡直樹 挿絵
A5判・仮フランス装 360ページ
価格 2,000円+税
めこん 2024年9月12日発売
http://www.mekong-publishing.com/books/ISBN4-8396-0339-7.htm
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この本に収められた10篇の「物語」(短編作品)は、タゴールが東ベンガル(現バングラデシュ)を中心に生活していた、30歳代に書かれたもので、どれもベンガル人に広く愛されている傑作ばかりです。タゴールというとノーベル賞受賞以降の、髭を生やした聖者然とした姿を思い浮かべますが、これらの作品には、青年タゴールの、実に瑞々しい感性が感じられます。

物語の雰囲気をより身近に感じていただくため、10篇のすべてに、西岡直樹さんに挿絵を描いていただきました。また解説では、写真入りで、20代から30代にかけてのタゴールの生活や、個々の作品の背景について、かなり詳しく説明しました。

表紙絵はタゴール晩年の作品。前作の『少年時代』と同様、フランス装のたいへん美しい装丁に仕上がっています。ぜひ多くの方に手に取っていただきたいと願っています。

なお、11月16日(土)午後、横浜市大倉山記念館ホールで、出版記念講演会の開催を予定しています。プログラム等の詳細については、追ってお知らせいたします。

著者 ラビンドラナート・タゴール(ベンガル語: ロビンドロナト・タクル)
インドとバングラデシュの国民詩人。近代ベンガル語の韻文・散文を確立、詩・物語・小説・劇・評論・旅行記・書簡など、あらゆる分野に傑作を残した。両国の国歌を含む数多くの歌曲(ロビンドロ・ションギト)の作詞作曲者、優れた画家としても知られる。
1913年、詩集『ギーターンジャリ』(英語版)によって、ヨーロッパ人以外で最初のノーベル文学賞受賞者となった。岡倉天心・横山大観・荒井寛方等と交流があり、日本にも5度訪れている。
自然の下での全人教育を目指して、彼がシャンティニケトンに設立した学び舎は、現在、国立ビッショ=バロティ大学(タゴール国際大学)に発展している。

訳者 大西 正幸(おおにし まさゆき)
東京大学文学部(英語英米文学科)卒。オーストラリア国立大学にてPhD(言語学)取得。専門は、北東インド・沖縄・ブーゲンビル(パプアニューギニア)の危機言語の記述・記録とベンガルの近現代文学・口承文化。

1976〜80年、インド(カルカッタとシャンティニケトン)で、ベンガル文学・口承文化、インド音楽を学ぶ。その後も、ベンガル文学の翻訳・口承文化の記録に携わっている。ベンガル文学の翻訳には、タゴール『家と世界』(レグルス文庫)、モハッシェタ・デビ『ジャグモーハンの死』(めこん)、タラションコル・ボンドパッダエ『船頭タリニ』(めこん)など。現在、めこんHPに、近現代短編小説の翻訳を連載中。
https://bengaliterature.blog.fc2.com//

(紹介者:大西正幸)

更新日:2024.10.01