松本榮一のインド巡礼(その9)
ジャイプル サモードパレス
サモードパレスはジャイプル郊外の静かなサモード村にある宮殿です。もともと要塞でしたが、約500年前、この村の領主によって宮殿に建て替えられ、コロニアル様式と、インド伝統様式を取り入れた、小ぶりですが、素晴らしい宮殿です。
また近くには、サモードバーグという名の美しいプールのある庭園もあります。
この宮殿の素晴らしさは、全館にサラセン文化の彩色が施され、その命の花の彩色された壁面は、絢爛たる花園に紛れ込んだようです。
この宮殿の花柄のモチーフは、ペルシャの影響といえるでしょう。それはジャイプルの布の名品である木版更紗のモチーフも、この宮殿と同じ、ペルシャから伝わったものだといえるのです。
©Matsumoto Eiichi
松本 榮一(Eiichi Matsumoto)
写真家、著述家
日本大学芸術学部を中退し、1971年よりインド・ブッダガヤの日本寺の駐在員として滞在。4年後、毎日新聞社英文局の依頼で、全インド仏教遺跡の撮影を開始。同時に、インド各地のチベット難民村を取材する。1981年には初めてチベット・ラサにあるポタラ宮を撮影、以来インドとチベット仏教をテーマに取材を続けている。主な出版、写真集 『印度』全三巻、『西蔵』全三巻、『中國』全三巻(すべて毎日コミニケーションズ)他多数。
更新日:2024.02.09