松本榮一のインド巡礼(その6)
カイラース巡礼
カイラース山は、ヒンドゥー教徒、仏教徒、ボン教徒に聖山と崇められている。かつて八千メートル級のヒマラヤ連山の北方に位置し、チベット高原の中の独立峰として、その存在を際立たせているカイラース山は、世界最高峰と思われてきた。実際には6,656mの独立峰であるが、近くのマホナサロワル湖とともに、インダス、ガンジス、ブラフマプトラなどのアジアの大河の源流域を構成している。地球に最も影響している山といっていいのだろう。
大乗仏典に描かれている、菩薩たちの集うメール山は、このカイラース山がモデルになっているといわれている。
©Matsumoto Eiichi
松本 榮一(Eiichi Matsumoto)
写真家、著述家
日本大学芸術学部を中退し、1971年よりインド・ブッダガヤの日本寺の駐在員として滞在。4年後、毎日新聞社英文局の依頼で、全インド仏教遺跡の撮影を開始。同時に、インド各地のチベット難民村を取材する。1981年には初めてチベット・ラサにあるポタラ宮を撮影、以来インドとチベット仏教をテーマに取材を続けている。主な出版、写真集 『印度』全三巻、『西蔵』全三巻、『中國』全三巻(すべて毎日コミニケーションズ)他多数。
更新日:2023.11.06