松本榮一のインド巡礼(その11)

ガンダーラ仏 

 

ガンダーラ美術は、現在のパキスタン西北部にあるガンダーラ地方を中心に紀元前後から5世紀ごろまで栄えた仏教美術です。このガンダーラ美術の最大の特徴は、仏像を作ったことです。ギリシャ美術の影響を多大に受け、きわめて写実的なブッダのお姿を造りました。

それまでの仏教美術では、ブッダの姿を現すのに、仏足石や、悟りの象徴である菩提樹のモチーフで表していました。

ガンダーラでは、端正で、美しくも凛々しいブッダ像がつくられました。

紀元前後に始まった、この写実的な仏像のお姿は、その後の仏教美術の本流になり、仏教各派の多くは、写実的な仏像を礼拝するようになりました。

©Matsumoto Eiichi

 

松本 榮一(Eiichi Matsumoto

写真家、著述家

日本大学芸術学部を中退し、1971年よりインド・ブッダガヤの日本寺の駐在員として滞在。4年後、毎日新聞社英文局の依頼で、全インド仏教遺跡の撮影を開始。同時に、インド各地のチベット難民村を取材する。1981年には初めてチベット・ラサにあるポタラ宮を撮影、以来インドとチベット仏教をテーマに取材を続けている。主な出版、写真集 『印度』全三巻、『西蔵』全三巻、『中國』全三巻(すべて毎日コミニケーションズ)他多数。

更新日:2024.04.11