松本榮一のインド巡礼(その10)

ポタラ宮―極奥の神殿

 

ポタラ宮は、インドに亡命している元チベット国王であり、チベット仏教の法王ダライ・ラマの居城であり、同時に歴代ダライラマの墓廟でもあります。

チベットの都だったラサの西北マルポリの丘にぽっかりと浮かぶようにそびえるポタラ宮は最盛期のチベット文化を象徴する壮麗な建造物です。

全幅約400m、面積にして13000平米、基部から13階のこの建物は、一つの建築物としては世界最大級であり、1642年から十数年の歳月をかけて建てられました。

1649年、白宮が完成し、当時のダライラマ五世はこの新宮殿に居を移した。

やがて1682年、ダライラマ5世が亡くなると、その遺体をミイラにして黄金の霊塔に収め、壮大な廟を白宮の西隣に立てた。これが紅宮である。そして5世から後のすべてのダライラマの遺体はミイラにされ、紅宮に収められているのである。(ただし6世は青海で客死したため、ポタラ宮には6世の霊塔はない。)

1959年、ダライラマ14世は、中国の圧迫にヒマラヤを超えてインドに亡命し、北インドのダラムサラで亡命政府を作っている。

 

©Matsumoto Eiichi

 

松本 榮一(Eiichi Matsumoto

写真家、著述家

日本大学芸術学部を中退し、1971年よりインド・ブッダガヤの日本寺の駐在員として滞在。4年後、毎日新聞社英文局の依頼で、全インド仏教遺跡の撮影を開始。同時に、インド各地のチベット難民村を取材する。1981年には初めてチベット・ラサにあるポタラ宮を撮影、以来インドとチベット仏教をテーマに取材を続けている。主な出版、写真集 『印度』全三巻、『西蔵』全三巻、『中國』全三巻(すべて毎日コミニケーションズ)他多数。

更新日:2024.03.13