書籍紹介:『インドを旅する55章』
『インドを旅する55章』(エリア・スタディーズ)
宮本久義・小西公大(編著)
明石書店、2021年6月
(https://www.akashi.co.jp/book/b583975.html):目次と執筆者紹介がみられます。
(https://webmedia.akashi.co.jp/posts/5155):第1章が試し読みできます。
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インドは日本の約9倍の広さを持ち、悠久の歴史が流れる国です。白亜のタージ・マハルやガンジス川の沐浴場など数多くの観光地を持つインドは、今まで世界中の旅行者を魅了してきました。しかし、本書を企画した目的は観光用のガイドブックではなく、これまでほとんど紹介されてこなかった「ディープ・インディア」ともいうべき、多様で深遠なインド世界に読者をお連れしようというものです。それゆえ、本書の執筆者には、長年インドでフィールドワークや研究を積み重ねてきた人びとを中心に、旅のスペシャリスト、インドに行って人生が変わってしまうほど深く関わってきた人など、みな長い時間をかけてインドとディープに接してきた人ばかりに集まっていただきました。執筆者が43人にのぼるという、今振り返ると結構大々的な企画でしたが、このテーマにはこの人しかいないと信じて執筆を依頼したかいがありました。
全体は55の独立した章と11本のコラムからなりますが、いくつかテーマごとにまとめて、「旅に出よう」、「インドの不思議都市を歩く」、「多様な宗教を旅する」、「さまざまな人に出会う」、「乗り物を楽しむ」、「インドを泊まり歩く」、「インドを食べ歩く」、「世界遺産を旅する」、「インドの伝統文化を旅する」、「インドの現代文化を旅する」、「旅のおみやげ」という11のパートで構成しました。これらのなかに、今まで知らなかったインドの見どころや新たな発見が必ずみつけられると信じています。本書は、旅の面白さ満載の楽しいエッセイ集であるとともに、インド文化の真相=深層に迫る、インドの「考現学」が展開されているような内容になったと思います。
本書では旅を「観る」ものではなく「出会う」ものとして捉えています。インドに魅せられてきた人たちが、どのようなインドと出会い、そこでどのような関係を築いてきたのか。これからインド旅行を計画している方、もっとインドに深く入りたい方は、そうした執筆者たちの十人十色のインドとの関わり方を知ることで、自己流の旅を模索してほしいと考えています。誰も持っていない、世界で一つのインド像を読者の方々に構築していただければ、編者としては望外の喜びです。
最後になりますが、新型コロナウイルス蔓延のため、執筆者のなかには原稿提出後にインドに行く機会が得られず、内容の確認が難しいケースもあることをご了承ください。現在では状況が変わっていることもありえますので、訪れるときには必ず確認してから出発することをお願いします。新型コロナのせいでインド渡航は自由にできませんが、せめて本書でいろいろな旅の経験を共有していただければ幸いです。
(紹介者:宮本久義)
『インドを旅する55章』
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更新日:2021.09.15