導かれたodissiへの旅——花の宮祐三子インド留学記③

NRITYAGRAMを創設したのは、プロティマ・ガウリ・ベディProtima Gauri Bediという著名なodissiダンサーだった。

彼女は、ボンベイ生まれで、カビール・ベディというとても有名な映画男優の妻として知られていた。だが、ケルチャラン・モハパトラ グルジのodissiを観て、彼女の人生は一変。すべてを捨ててオリッサに出向き、odissiに身を捧げたと聴いている。

 

プロティマ・ガウリ・ベディ女史のフライヤーから

 

そんな彼女が、インド古典舞踊においても、かつて存在していたguru shisha parampara ——日本でいう内弟子制度のようなものが途絶え、単なるお稽古事になってしまっている状況を憂い、再復興させようと創設したのが、このNRITYAGRAM(ヌリッティアグラム=ダンスヴィレッジ)だった。

いろいろなスポンサーをあたり、辿り着いたのが、このカルナタカ州、バンガロール郊外のこの村だったのだ。

私達は、彼女のことを敬愛を込めて、ガウリ・マと呼んだ。なので、ここでも、以下、ガウリ・マと呼ばせて頂く。

 

ガウリ・マ in NRITYAGRAM

 

NRITYAGRAMは、荒野を開拓して作られたダンスヴィレッジ。

バンガロールから20キロ程離れたhessaragatta村のそのまたはずれにあり、隣はたった一軒家があるのみ。

1990年 2月頃だったか、たどり着いたNRITYAGRAMは、まだ建築がまだ完了していず、そこにいたのは、ガウリ・マと、ゴア出身のジェラード(Gerard da Cunha)という建築家、そしてカルナタカ州の村から来たウダエという最初の男性生徒だった。

ダンスヴィレッジの素晴らしい点の一つは、その建築にあった。西洋のシュタイナー建築を彷彿させるような、曲線に満ちた建物。土、ココ椰子などの自然素材だけですべてが作られていた。

 

ダンスヴィレッジの門(奥に見えるのはヨガセンター)

 

私達、生徒の部屋は2畳あるかないか、くらいだっただろうか?

作り付けの石の棚にマットレスを敷いたベッドと、備えつけの土の机があるのみ。

私は、女性で最初の生徒だったので、一番好きな部屋を選ぶことができた。とっても小ぢんまりした部屋だったけれど、とってもキュートで大満足だった!

 

インドの建築雑誌より

 

さて、どのようにレッスンが始まったんだったかなぁ〜 はっきり思い出せない。

でも、住込みで料理を作ってくれたナヤール一家の三女であるアニータと、バンガロール市から来たシルパと共に、4人の生徒でレッスンが始まったと記憶している。いま、NRITYAGRAMを継いでいるスルパは、しばらく後でやってきた。

最初の数ヶ月は、踊りの演目を教えてもらうことはなく、ひたすら、基本のステップの練習ばかり。odissi独特のチョーカとトリバンギという2つの直線的、曲線的ポーズに基づく10のステッピング練習、それぞれのステップでは、1st speed、2nd speed、3 speedと、どんどん速くステップをとっていくのだった。

また、目や首、胴の動きをする練習など、いろいろだったが、インド舞踊独特の首を左右に動かす動きは、私にはとても難しく、1年位かかってようやくできたように記憶している。

 

オディッシー・グルクルの屋上へ向かう階段にて

 

朝5時半くらいに起き、ジョギング、そしてヨガ。

朝食後 8時から13時は 朝のクラス。昼食 お昼寝、午後のガーデニング、17時〜20時は夕方のクラス 晩飯、時には、夜のクラスも、、、

と、1日8時間、またはそれ以上レッスンする毎日だったけれど、これ程まで踊りに明け暮れていられる喜び、そして自然に囲まれ、ほぼ裸足で過ごすここでの生活は、とても幸せに満ちていた。

 
 

 

花の宮祐三子Hananomiya Yumikoプロフィール

大阪生まれ。本名 茶谷裕美子(Yumiko  Chatani

大阪府立天王寺高校、広島大学総合科学部(文化人類学)卒業。

’89年 中国・パキスタンを経てインドへ一人旅、’90年、故プロティマ・ガウリ女史によってバンガロール郊外に開かれたばかりのNRITYAGRAM(The Dance Village)にて、インド古典舞踊 odissiを Padma Vibhushan 故ケルチャラン・モハパトラ グルジや、ガウリ・マ等から 住込みで修養。その後、瞑想と踊りの探究が続き、パートナーの住むスイスと日本を行き来する生活。様々なジャンルの音楽家とのコラボを含め、自然を感じ、魂の喜ぶ「舞い歌絵書き」も戯れ遊ぶ。インド・イギリス・スイス・アメリカなど、国内外での公演、寺社ご奉納、瞑想会や パートナーとの Inner touch ワークショップ等を行う。

更新日:2023.09.08