ガンディー「知足」の精神⑥

忍耐力を怒りなき心に高める

わたしはよく腹を立てない人と言われるが、そんなことはない。わたしは怒りにはけ口を与えないようにして、忍耐力を怒りなき心に高めようとするのである。そしておおむね、わたしはこれに成功している。わたしは、怒りがこみあげてくるとき、ひたすらそれを制御するだけである。どのようにしてわたしが怒りを制御する方法を見出したかは、無用の問いである。なぜならそれは、一人ひとりが自らを陶冶し、たゆまぬ実践によって、よろしく身につけなければならない習慣だからである。

精進努力は人をいっそう強靭にする

たとえば、わたしは腹も立たないというわけではない。ほとんどどんなときでも、わたしはうまく自分の感情を制御するのである。その結果かどうかはいざ知らず、わたしの内心にはつねに、たえず慎重に非暴力の法に従おうとする意識的な精進努力がある。そうした精進努力は、人をいっそう強靭にするものだ。この法に従って努めれば努めるほど、わたしはいっそう生きる歓びを、言いかえると、三千大世界のしくみのなかで生きる歓びを痛感する。それはわたしに心の平安(やすらぎ)と、言葉では言い尽くせぬ自然の神秘の意味をもたらしてくれる。

相手側がわたしを敵と考えている人たちに、わたしが憎悪の気持(こころ)をいだかずにいられる—わたしのほうではむしろ。個人的に愛情をいだいていると言いたい—からといって、わたしが彼らの欠点に目を閉じていることにはならない。

(森本達雄 編訳『ガンディー「知足」の精神』〔人間と歴史社〕、第8章「経済的平等」の実現より)
『サルボダヤ』10月号(一般社団法人 日印サルボダヤ協会、2020年)より転載

一般社団法人 日印サルボダヤ交友会:http://sarvodaya-japan.org/index.php

更新日:2020.11.04