磯貝　富夫

コロナ騒ぎはまだまだ予断を許しませんが、日本はどうやら欧米のような悲惨なことにはならずに済みそうで安堵しています。色々と情報が飛び交っていますし、政府の対応に不満もあることでしょうが、理由や背景はどうあれ今の日本のコロナ禍の現状はインドや他国に比べれば幸運であることに変わりなく、日本に生まれ育ったことに改めて感謝です。

さて、インドでは３月25日から全土のロックダウンが発令され、５月末まで延長を繰り返しました。６月から一部緩和策が実施されて私も実に６週間振りにアルコールを入手することができていたのですが、インドはロックダウン中にも感染者数が加速的に増加し、本日時点でついに累計が１００万人に達しました。(死亡者数は２５千人超）そこでインド政府は地域別に対応することを決めたようで、今週始めから再度一部地域でロックダウンが再発令されました。私が住んでいる当地西インドのマハラシュトラ州はインド全土でも最悪の感染者数を出しており、私の住居のあるプネ市も例外ではなく、去る月曜日からロックダウンとなりました。今回は最初の5日間は生活必需品(生鮮食品）を含む全てのサービスが止まりました。

完全なる引き籠り状態です。来週から食品関係のお店が再開しますが午前中のみの営業となります。さすがに直前の週末は酒屋さんやスーパーにも長い行列ができました。今回のロックダウンは7月23日までの10日間との当局の発表ですが、さてどうなりますことか。首都のニューデリー大都市圏はロックダウンは発令されていないとのことですが、バンガロールなどの大都市では発令されているようです。3月下旬から3ヶ月間継続した最初のロックダウンで、すっかり引きこもり生活にも慣れましたし、禁酒にも耐えましたが、学習効果で今回はお酒類もかなり買い込んであります、ハイ！

結果としてOnlineでの面談や会議が本当に増えました。私が通っている大学も毎週Webinar（オンラインセミナー）を実施していますし、私自身が登壇したWebinarも一般公開されたものだけで既に5回ありました。受講する学生達も地方に帰省しているために通信インフラ不足や電源事情が悪いといった理由で、参加しても画像は見れないなどの問題が露呈しました。

国際航空路線も7月末まで停止されていますので、インドと日本のそれぞれに滞在延長を余儀なくされた人達を救済するため、臨時便やチャーター便の運航が実施されています。日本政府はインドを「レベル３：渡航中止勧告」としていますので、 これもいつまでこの状態が続くのか予断を許しません。

このコロナ禍でも良いこともありました。添付をご参照ください。

悪いことばかりではありません。今後の日印の関係も更に急速に近づき、強固になっていくことを期待しているところです。私の持論である「日本の将来はインドしかない！」を再確認しました。多くの日本人、特に若い世代に、そのことに気付いて行動をして欲しいと切に願っています。

オンラインでの講演や面談が可能となりましたので、今後は積極的に日本の大学や高校、産業界、インドの高度人材の日本の人材不足が深刻化するIT業界、介護業界、エンジニアリング業界、顧客サービス業界などに「インドに頼るしかない！」ことをオンラインで訴えていきたいと考えております。特に介護業界やサービス業界については、インド北東地方のモンゴロイド系の人種が集まる8州からの人材誘致に尽力していきたいと考え、既に人材開発(日本語教育、専門教育）のインフラ作りに取り掛かっております。昨年から同地方に出かけていくことが増えました。同地域とのネットワークが拡大しつつあります。

コロナ禍の現状では現地に出張することは叶いませんが、オンラインでの講演や講習は開始していきます。人材の開発と日本への送り出しには一年以上、そこから現場での即戦力となるまでには相当の期間を必要としますので、今から手掛けていても実際に日本の産業界に貢献できるのは数年後となりますから、中期的な視点に立って取り組んで参る覚悟です。これは私自身にとってはライフワークとなると考えています。過去3年継続してきた日本の大学生に向けた「グローバルリーダー養成塾」も今年はオンラインでの研修プログラムを企画中です。

磯貝　富夫（いそがい とみお）

シャープ(株)で37年間グローバルビジネスに携わり、世界60ヶ国以上を訪問し5ケ国に20年以上の海外勤務経験がある。2016年の定年退職直前までシャープ・インディア社の社長を務めた。現在は西インドのプネ市に拠点を置き、日印関係のアドバイザーとして活躍する傍ら、現地の有名私立大学MIT-ADT大学のMBA非常勤講師を務めている。
LinkedIn: https://www.linkedin.com/in/tomio-isogai-58984b50/