みやまの踊るマンゴーラッシー③
インドで物乞いに遭った時、どうする?
◎お品書き
1.どんな場所で物乞いに遭う?
2.その時、どう行動する?
◎はじめに
インドを旅する時(もちろん生活する時もですが)、
それと切っても切り離せないのが、貧困の問題。
路上で生活する人たちや、街中のスラム、そして駅や観光地であなたに近づいてくる物乞いの人々・・何かを考えさせられることも、少なくないのではないでしょうか。
そんな中でも、今回は私たちがその場で何かしらの行動を迫られる「物乞い」について考えてみたいと思います。
「インドで物乞いに遭遇した時、あなたならどうしますか?」
先にお伝えしておきますが、これはある意味正解のない問いです。
私自身、街で物乞いをされていつも同じ対応をしているわけではありませんし、街のインド人の対応だってバラバラです。
ともあれ、どんな場所に物乞いがいるのか、
また、私の通った社会福祉(ソーシャルワーク)の大学院の先生のお勧めの対処方法などを紹介したいと思います。
1. どんな場所で物乞いに遭う?
インドで物乞いは犯罪なのですが、
資料によると50万人もの人々が物乞いをしているらしいです。
(今回の資料:「インドの物乞いと物乞い詐欺(英文記事)」
https://www.tripsavvy.com/india-beggars-and-begging-scams-1539144
※臨場感あふれる写真が載っています。ぜひご覧になってみて下さい。)
私が留学していたムンバイの街でも(行く場所にもよりますが)、しょっちゅう見かけました。
中でも、よく物乞いに遭う場所ベスト3と言えば・・・
① 駅の周辺
例えば、私の学校の最寄駅ゴバンディ。切符売り場から階段を昇ってホームに行く途中の歩道橋の上に、サリーを着た太ったおばちゃんが座り込んで、丸いプラ容器(よくデリバリーでカレーが入ってくるサイズ)を地面に置いて、手の平を差し伸べていました。
(※ちなみに、ムンバイのローカル電車の駅には改札口がないので、切符を買わなくても誰でも駅構内に入れます。)
また、フィールドワーク実習で1年通ったカリーロード駅では、これまた切符売り場からホームに通じる長いスロープの途中に、3人くらいおばあちゃんが離れて座り込んで、手を差し出していました。
しかも、このおばあちゃん達、降車する人が比較的多い午前中はその人達が通る左側に座り、乗車する人が多めの午後は逆側に座る・・という努力っぷり。侮れません。
ちなみに、先ほど書いたように「物乞いは犯罪」ですし、街としての見栄えも悪くなります。そのせいか、ムンバイでいちばん大きなターミナル駅のCST(チャトラパティ・シヴァジー・ターミナス)では、警察が頑張って追い払うのか、物乞いを見かけることはありません。
② 観光地の近く
例えば、私が「ムンバイのモン・サン・ミッシェル!」と勝手に呼んでいる海辺のイスラム寺院「ハジ・アリ」などの近くではよく物乞いを見かけます。また、ムンバイ以外の観光地でも見かけた覚えがあります。
③ 交差点
このケースで多いのは、赤ちゃんを抱いた女性や子どもが交差点で信号待ちをしている車やオートリキシャに近付いて、自分の口の前で指を動かして「食べ物を…。」とアピールする物乞い。
そう、ターゲットは交差点を通る歩行者ではなく、車両の中の人なのです。
アピールした1台目で反応がないと、どんどん後ろの車両に回っていき、信号が青になって車が動き出すと、中央分離帯などに一時避難します。
ものすごくたくましい・・・。
蛇足ですが、同じ戦法で交差点で物を売りに来る人たちもとっても多いです。
花束・おもちゃ・車の日よけや掃除用ブラシ・独立記念日にはミニ国旗・クリスマスにサンタ帽など・・(私はサンタ帽を買ったことがあります。笑)。
2. その時、どう行動する?
物乞いをされた時、あなたならどうしますか。
お金を渡す?無視する?それとも…。
そもそも、物乞いをしている人々には2種類いると言われています。
・本当に生活が苦しく、それしか方法がなくてやっている人
・組織的な物乞いビジネスの手先として物乞いをし、もらったお金の大部分を組織に巻き上げられる人
(中には、物乞いをさせるためにギャングに誘拐されて、物乞いを強制されている子どもたちも少なくないそうです。)
また、物乞いの人たちの更生を支援する団体(NGO)でインターンをした同級生は、特に前者に関して、
「かれらは怠け者なのよ。物乞いだと楽してお金がもらえちゃうから、もう働こうとしないの。」
と言っていました。
このように、人によって複雑な背景のある物乞いに遭った時・・・。
① まず、一般的なのはスルーする(無視する)こと。
街中のインド人たちも大体はこの反応です。
② 次に、私が学んだ社会福祉(ソーシャルワーク)の先生からは、ビスケットやお菓子を渡すことを教わりました。
これは、特に子どもが物乞いをしてきた場合の話ですが、先生は、
「その子をかわいそうに思ってお金を渡したとしても、そのお金がどこへ行くかは分からない。ギャングのボスに取られてしまうかもしれない。けれど、ビスケットだったら確実にその子の口に入る。」
とおっしゃっていました。
その話を聞いてから、私は持ち合わせの飴やチョコがある時に物乞いされると、それを渡すようになりました。
③ 最後に、お金を渡す人たちもたまに見ます。
これは純粋な物乞いとは少し毛色が違いますが、ムンバイで電車に乗っていると、サリーを着て女装をしたオカマさんたちが柏手を打ちながら回ってきます。その人たちに小銭を渡す乗客はたまにいます。視覚障害者のおじいさんが車内を巡って来て、その人にお金を渡している人も見ました。
また、私は1年目のフィールドワーク最終日に、『あぁ、1年よく頑張ったなぁ〜。』と晴れやかな気持ちになって、帰りの電車に乗る前にカリーロード駅の物乞いのおばあちゃんに『今日くらいはいいかな。』と思ってコインを渡したことがあります。物乞いに対する反応は、その人のその日の気分によっても変わるかも・・というお話。
ちなみに、この記事を書く時参考にした上記のサイトでは、
「どうしてもお金を上げたいなら、その場所から去る時に10〜20ルピー(約20〜35円)だけあげなさい。」
と書いてありました。
その場に着いた時でなく去る時に、とわざわざ書いてあるのは、着いた時にお金を渡して、それを見ていた別の物乞いや帰りの時にますますたかられることを避けるためです。
さて、今回のコラムはいかがでしたか?
みなさんがインドで過ごす時に少しでも参考になれば幸いです。
更新日:2019.08.31