当会世話人の下田正弘先生、「増上寺所蔵の大蔵経、ユネスコ『世界の記憶』登録」記者会見に登場

この度、ユネスコ「世界の記憶」に浄土宗大本山増上寺が所蔵する大蔵経が認定されました。

先日行われた発表記者会見には、当ネットワーク世話人の下田正弘先生が申請推薦者として出席しました。下田先生は、SAT(膨大な仏典の集大成である「大正新脩大蔵経」のデジタルテキストデータベース化プロジェクト)の推進者としても名高い研究者です。

下田先生は、記者会見で「インド文明、中国文明を超え、人類の知的遺産が日本において記録され保存され続けてきたものが、ユネスコにおいて再発見され、記録されたものである」とし、この度の登録の意義は「世界史において日本の歴史の意義が可視化された事象」であると述べています。

記者会見の模様は下記の動画でご覧下さい。
記者会見 ニュース動画
https://www.youtube.com/watch?v=BLqZnlg8OKQ 【ANNニュース】

 

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増上寺「三大蔵」とは 《増上寺公式HPより》
https://www.zojoji.or.jp/news/1134.html

浄土宗の大本山増上寺が所蔵する三種の大蔵経とは、中国の宋代および元代、朝鮮王朝時代に当時最高の印刷技術のもと制作された、

①中国、南宋時代(12世紀)に開版(版木が作成)された思渓版大蔵経5,342帖
②中国、元時代(13世紀)に開版された普寧寺版大蔵経5,228帖
③朝鮮、高麗時代(13世紀)に開版された高麗版大蔵経1,357冊

という、総数約12,000点に及ぶ木版大蔵経群です。「大蔵経」とは一蔵が5,000巻を超える仏経聖典の叢書であり、仏教文化の根拠と基盤をなす一大文献群です。これらは、17世紀初頭に江戸幕府を創設した徳川家康が収集し、増上寺に寄進した膨大な経典類です。その後、関東大震災や東京大空襲など様々な危機を乗り越え、今日まで増上寺において伝承されています。

多くの大蔵経が王朝の変遷や戦乱により散逸するなか、15世紀以前に作られた三つの大蔵経がほぼ完全な状態で所在されていることは世界で他に類を見ません。

近代になると、明治と大正時代にはそれぞれ校訂を施した大蔵経を刊行するため、増上寺で三大蔵が校合され活版印刷となり、大蔵経が広く流通したことで、仏教は近代的学問の対象となりました。そして現代では最先端の技術を用いてデジタルアーカイブとなり、持続可能な地球平和と調和のための、世界の精神文化史の一環として注目されています。

浄土宗大本山増上寺所蔵三大蔵【公式HP】
https://jodoshuzensho.jp/zojoji_sandaizo/intro/

「増上寺が所蔵する三種の仏教聖典叢書」のユネスコ「世界の記憶」登録決定について【文部科学省HP】
https://www.mext.go.jp/unesco/006/1373633_00034.htm

 

 

更新日:2025.05.01