ごあいさつ

奈良 康明日印文化交流ネットワーク 世話人代表

世界が激動しています。交通機関の発達、ITの進展などによって国家間の距離は近くなりました。政治、経済、思想、文化などの各面において、共通な価値観や理念が求められるグローバルな世界になっています。反面、グローバルな故に、伝統的な価値観や個人の思考が無視ないし軽視される傾向があります。そのことへの反省がいろいろと出ている今の時代です。特に思想、文化の面においては、各国それぞれの伝統に基づく特色は尊重されなければならないものでしょう。その上での対話、相互理解そして相互交流がはかられることが重要となります。

日本とインドの長年にわたる文化交流はあらためていう必要はありません。仏教を中核とし、インドの宗教、神々と神話、文学、そして芸術面におけるインド文化の日本への影響は小さいものではありません。そして今日では、インド音楽、絵画等文化面における草の根的な交流の度が増大するとともに、セミ・アカデミックなインド思想の紹介も頻繁に行われています。インドに関心をもつ若者も多く、いわば「インド文化カフェ」のような小さな、しかし実質的な交流の場が増えています。

こうした時代の変化にともなう両国の今日の発展と現状をみるとき、日印両国の交流も新しい段階にはいっているように思われます。今後の日印文化交流の強化・充実のためには、まずは、広く民間諸団体や個人による日印の思想・宗教・文化・学術・芸術など各方面にわたる交流活動の情報を共有し、相互の協力・支援が可能になるような仕組みが不可欠です。

そのために「日印文化交流ネットワーク」を構築し、このたび、学界、宗教界、文化交流団体の枠組みを超えて相互の理解と信頼関係を醸成し、任意の情報交換と、それに基づく任意の相互協力・支援が可能となるようなプラットフォームとして、ウェブサイト「つながる!インディア」を開設しました。本ウェブサイトを通じて日本とインドの情報を伝達・共有し、交流活動をさらに活性化することで、ひいては世界平和に資することを願っています。

山田 一眞日印文化交流ネットワーク 代表幹事

日印文化交流ネットワークの設立を巡って

日本とインドは、奈良時代から、主に文化を主軸とした深い関係が築かれてきました。今日、報道等でご存知の通り、政治や経済といった分野における交流が活発になされるようになってきました。ここ数年、特に日印の文化交流に携わっておられる各方面の団体、あるいは個人の方々より、両国の交流における意義深い個別の活動が、相互に連携をとることによって、量と質をより充実させ、同時に、より多くの人に発信されるような仕組みづくりを切望する声が、折に触れ、耳に届くようになりました。

本ネットワークが設立されるにいたった最大の理由は、この点にあります。

その経緯の概要をお伝えし、多くの方々のご参画により日印文化交流ネットワークを大きく広げて頂けますことを、切にお願い申し上げ、ご報告に合わせてご挨拶とさせて頂きます。

〔経緯〕

2015325日、写真家松本栄一氏の紹介により日印協会を訪問、平林理事長、事務局長と面会いたしました。同協会の現況を伺ったところ、現在は、経済、政治の関係は非常に活発な動きになっているが、当初期は、仏教関係を中心とした文化活動が主流をなしていた時があったことを考えると、文化交流に関しての協力をお願いできないかとの要望がありました。

51日に、奈良康明先生のご自坊を訪問。日印文化協会の設立当時の経過を伺い、意見をお聞きし、資料並びにご参加を頂ける関係者の紹介を頂きました。

515日 中村元東方研究所の堀内伸二氏と同道にて在日インド商工協会理事長の比良竜虎氏を東上野の会社に訪問、意見交換を行いました。26日には、桜美林大学元教授の荒木重雄氏の紹介で、日印協会理事(元同協会専務理事)鹿子木健吉氏と面会などを重ねて、「日印文化交流」のための組織を立ち上げる準備にかかりました。

その後、インド大使館における各種の行事に出席、諸氏とお会いする機会を作り、準備にご参画頂きました方々と打合せ、意見交換を重ねて、8月、堀内氏とともに奈良先生訪問。最終的な方向付けを頂きました。820日に準備会の案内の発送終わりました。

準備委員会を、発起人承諾18名を得て2015917日夕方、上野池之端にて開催。発起人会は、2016310日夕方、新宿にて開催され、出席者12名、設立趣意の説明、会則案、役員構成などにつき意見交換、出席者各位の思いが語られました。その間、鹿子木氏のご紹介により、元国連大学学長室長ラビンダ・マリック先生と数回、お会いして諸種アドバイスを頂きご参画頂くことになりました。

2017517日夕方、上野池之端にて第一回幹事会を8名の出席を得て開催。設立趣意書と会則の再確認を行い、年内の設立を目指し、その出発として、ウェブサイトを構築しての活動に特化することを申し合わせました。