変わるもの変わらぬもの- タミルナドゥ州・ラーメーシュワラム
マレーシアのクアラルンプールを経由し、南インド、タミルナドゥ州のティルチラパリには夕方5時頃到着した。
久し振りの南インドだ。空港から一歩外に出ると目の前に夕日をバックに巨大なインド国旗が風に靡いていた。
早速タクシーを拾い事前に予約していた宿に向かう。開け放たれた車の窓の外から、南インド特有のねっとりとした風が車内に入り込み、外に目を向けると、のそりのそりと歩く白い牛の姿、ルンギと呼ばれる腰巻きを身に付け歩く人々や小さな屋台の数々。
しばらく走ると町は賑わいを見せ始め、縦横無尽に走る車やバイク、オートリキシャ、そして鳴り止まないクラクションなどなど-これらの光景-光景と言うよりも空気に触れながら、ああ、またインドに来たのだなぁと実感が沸いてくる。
久し振りのインドはチャイ1杯の値段がちょっと高くなっていたり、町からはネットカフェが消え殆どの人がスマートフォンを手にしていたりと少しずつではあるが、どこか変わったようではあるけど、町の空気や騒音、そして人々の日々の営みは何ら昔と根本的に変わっていないようでもあった。
日本に帰国後、普段何気に暮らしているとそれらインドでの光景は気にも止めなくなり、そしてすぐに忘れてしまう。
しかし、私が日々あくせくと暮らしている間も、インドは変わらずインドで在り続け、そんな時間が日本から遠く離れた地で昔と変わることなく私の普段の時間と平行して流れ続けている事に不思議さを思うと同時に何故だか嬉しさみたいなものも感じた。
山崎 真(Shin Yamasaki)
写真家
1974年長崎市生まれ
大学卒業後 北米、オランダに渡航。現地に滞在しながら周辺各国を周る。
20代後半に1年3ヶ月アジアを旅し、うち4ヶ月インドに滞在。
2014年から月刊誌「在家佛教」の表紙及び表紙の話を3年間連載し写真と文章を通してアジアと関わり続けている。
ホームページ http://www.shinyamasaki.com
更新日:2018.12.30