仏教遺跡サーンチのストゥーパ
紀元前3世紀のこと、アショーカ王は、釈迦の遺骨(仏舎利)を安置するため、8万4千ものストゥーパ(仏塔)をインド全土に建立しました。その一つがサーンチのストゥーパです。
多くは戦乱などにより壊されましたが、インド中央部の鄙びた土地に建立されたサーンチのストゥーパは、奇跡的に完全な形で残りました。
塔の東西南北には、それぞれ約10mの塔門が配置されています。日本の鳥居に似ていますが、こちらは二本の方柱に三本の横梁が渡されています。塔門には仏伝図や本生図などが多数彫刻されており、大変優れた工芸品でもあります。
松本 榮一(Eiichi Matsumoto)
写真家、著述家
日本大学芸術学部を中退し、1971年よりインド・ブッダガヤの日本寺の駐在員として滞在。4年後、毎日新聞社英文局の依頼で、全インド仏教遺跡の撮影を開始。同時に、インド各地のチベット難民村を取材する。1981年には初めてチベット・ラサにあるポタラ宮を撮影、以来インドとチベット仏教をテーマに取材を続けている。主な出版、写真集 『印度』全三巻、『西蔵』全三巻、『中國』全三巻(すべて毎日コミニケーションズ)他多数
更新日:2021.09.01