早朝の光 – タミルナドゥ州・ラーメーシュワラム
ラーメーシュワラム、朝5時-インドの右下に突き出た半島から半島へ橋を渡り到着した私は、翌朝早くに目を覚ました。
そう、ここはヒンドゥー教の四大聖地の一つでもある最果ての聖地、ラーメーシュワラム、そしてインドでは珍しく海での沐浴を見る事ができる場所でもあるのだ。
しかし、いくら朝早くの沐浴を撮影すると言っても朝5時は早過ぎるのではないか、、、と私の不安とは裏腹に宿の階段を下り、通りに1歩出たところで驚いた。
暗がりの中うごめく人、人、人-その多くはサフラン色や南インドでよく見掛ける黒色の服を身に纏ったサドゥー達、そして家族連れの巡礼者など-前日の夜、私が通りで見かけたよりも遥かに多くの巡礼者達の群れであった。
ラーメーシュワラムの町はラーマナータスワーミ寺院を中心に形成されており、その寺院のそれぞれ東西南北の方角にはゴープラムと呼ばれる南インド独特の塔が建っている。そして、その東側にある塔から海へ向かって真っ直ぐに伸びた道の先に、アグニ・ティータームと呼ばれる沐浴場がある。
まだ薄暗い中、皆、一様に東の海の方角に歩いている。
アグニ・ティータームに到着すると服も着たままみな海に浸かり、沐浴を始め、祈りを捧げ始める。
海の中には様々の人々-まさに老若男女の人々がこの聖地を目指し、インド各地からはるばるとやって来ているのだ。
暫くすると、東の方角の遥か彼方の海の向こう-位置的に言うとスリランカの方角-から太陽が昇り始め、巡礼者、町、全てを黄金色に染め始めた。
振り返って町を見渡すと爽やかな黄金色の光がラーメーシュワラムの空に広がった。
山崎 真(Shin Yamasaki)
写真家
1974年長崎市生まれ
大学卒業後 北米、オランダに渡航。現地に滞在しながら周辺各国を周る。
20代後半に1年3ヶ月アジアを旅し、うち4ヶ月インドに滞在。
2014年から月刊誌「在家佛教」の表紙及び表紙の話を3年間連載し写真と文章を通してアジアと関わり続けている。
ホームページ http://www.shinyamasaki.com
更新日:2018.10.16