ロック・フォート、視線の先に – タミルナドゥ州・ティルチラーパッリ
南インド、東海岸のやや内陸部に位置するティルチラーパッリ、通称トリチー。
町は巨大な岩をくり貫いて作られたロック・フォートと呼ばれる寺院を中心に広がっている。
門前町を抜け、通りに面した入り口から薄暗い参道を進み、そこからトンネルのような階段が上へ上とへと続き、約400段登りきった先の山頂に寺院がある。
階段の途中には時折展望所があり、多くの巡礼者が眺望を楽しんだり、木陰で休憩をしたりしている。
400段ほど階段を登り、地上から約80mの高さになる頂上付近の開けた場所では地元の子ども達数人が走り周って遊んでいた。そして私に写真を撮ってくれとせがみながらもお互いに照れあったりと海外の寺院ではよく目にする光景、そうアジアでは、いつだって寺院内は地元の子供達の遊び場だったりするのだ。
-そんな子供達に別れを告げ、最後、岩を削って作られた急峻な階段を登りきると山頂の寺院に到着する。
その寺院の中からは四方をぐるりと見渡せるようになっており、四方八方にカラフルな家々が見渡せる。
そんな中、ぐるりと歩いていると一心不乱に外の光景を見つめる小さな女の子に出会った。
そこから見える光景や空気、匂いのようなものから彼女は何を想い、感じ取っているのだろうか。
こうした環境がこの先、彼女をどのように育んでいくのだろうか、などと思うと同時に、周りに広がっている世界があまりにも自分が過ごした幼少期の頃とは違い過ぎる事に改めて気付かされ、なんだか人生の不思議さのようなものを感じた瞬間でもあった。
山崎 真(Shin Yamasaki)
写真家
1974年長崎市生まれ
大学卒業後 北米、オランダに渡航。現地に滞在しながら周辺各国を周る。
20代後半に1年3ヶ月アジアを旅し、うち4ヶ月インドに滞在。
2014年から月刊誌「在家佛教」の表紙及び表紙の話を3年間連載し写真と文章を通してアジアと関わり続けている。
ホームページ http://www.shinyamasaki.com
更新日:2019.03.11