ラダックへの道-ジャンムー・カシミール州・レー
インド北部に色濃く残るチベット文化圏-ラダックへはデリーから飛行機で行く事ができるが、これから訪れる予定がある方は是非、陸路での旅を挑戦してもらいたい。そこには決して普段見る事ができない絶景とも言うべき景色が広がっているのだから。
とは言え、道中は決して平坦な道のりではなく、出発の拠点となるマナリーと呼ばれる街を発ってから、ラダックの中心地、レーに辿り着くまでに標高5000メートル級の山々を4つ程越えなければならず、またドライバーが危うく運転を誤ると崖下へ真っ逆さま、というような道も時には通らなければならない。
このように聞くとやはり飛行機で、という事になるかもしれないが、道中の風景というものが実に素晴らしい。どこまでも続く荒涼とした大地はどこか月の世界を思い起こさせ、目の前に広がる空は果てしなく青い。
ラダックで数日過ごした後、デリーに戻ってからの数日間、こんな事を思う日々が続いた-「自分は本当にあそこに居たのだろうか。デリーから北上して5000メートル級の山々を越えた場所にチベット世界が広がっているとは実に不思議な感じがし、あの地は天空に広がる幻の都市だったのではないのだろうか。」と。
それは、時間を掛け、地道に陸路を使ってレーまで辿り着き、遥か彼方への存在や距離感を身体で感じる事ができたからこその思いだったからかもしれない。
山崎 真(Shin Yamasaki)
写真家
1974年長崎市生まれ
大学卒業後 北米、オランダに渡航。現地に滞在しながら周辺各国を周る。
20代後半に1年3ヶ月アジアを旅し、うち4ヶ月インドに滞在。
2014年から月刊誌「在家佛教」の表紙及び表紙の話を3年間連載し写真と文章を通してアジアと関わり続けている。
ホームページ http://www.shinyamasaki.com
更新日:2018.09.15