ナーランダ大学
ナーランダ大学は、グプタ朝(427~)時代、クマーラ・グプタ1世によって設立されたと伝えられるインドが誇る世界最古の大学です。
西遊記で有名な三蔵法師玄奘が、ナーランダ大学で、シーラバトラ(戒賢)から唯識学を学んだのは西暦645年のこと。これは東アジアに仏教が広がる原点ともいえる出来事でした。玄奘がこの大学で学び、多くの経典を長安に持ち帰ったことにより、仏教は完全な形で中国に伝わり、さらには朝鮮、日本、ヴェトナムへと広がっていったからです。1957年には、周思来の提案によって、玄奘の遺骨がこの地に分骨されました。
残念ながらこの大学は1193年、イスラム勢力によって破壊されてしまいましたが、近年、インド政府によって「ナーランダ大学復興構想」が提案され、新ナーランダ大学が開校。2014年に800年の時を経て、ふたたび授業が再開されました。
松本 榮一(Eiichi Matsumoto)
写真家、著述家
日本大学芸術学部を中退し、1971年よりインド・ブッダガヤの日本寺の駐在員として滞在。4年後、毎日新聞社英文局の依頼で、全インド仏教遺跡の撮影を開始。同時に、インド各地のチベット難民村を取材する。1981年には初めてチベット・ラサにあるポタラ宮を撮影、以来インドとチベット仏教をテーマに取材を続けている。主な出版、写真集 『印度』全三巻、『西蔵』全三巻、『中國』全三巻(すべて毎日コミニケーションズ)他多数
更新日:2021.07.01