サーンチ・ストゥーパ 3
紀元前三世紀、アショーカ王によって始められた、このストゥーパ建立は、のちのシュンガ朝の時代になって完成したと考えられています。
サーンチ・ストゥーパの第一塔は、四方に塔門が建てられ、すべての面に、ブッダの伝記や、ジャータカといわれるブッダの前世の物語が、一面に彫刻されています。
しかし、サーンチのこの塔には、ブッダのお姿はありません。ブッダを象徴的に表した、菩提樹が描かれています。古代の仏教徒は、貴いブッダのお姿を現すことに、遠慮があったと考えられています。それで象徴として、菩提樹で表したのです。
ただ、ほぼ時代を同じくする、一世紀には、ガンダーラ地方や、マトゥーラ地方では、ギリシャの影響でしょうか、仏像が現れました。仏教をより身近に感じることができ、仏像は仏教の発展に大きく寄与しました。
写真家、著述家
日本大学芸術学部を中退し、1971年よりインド・ブッダガヤの日本寺の駐在員として滞在。4年後、毎日新聞社英文局の依頼で、全インド仏教遺跡の撮影を開始。同時に、インド各地のチベット難民村を取材する。1981年には初めてチベット・ラサにあるポタラ宮を撮影、以来インドとチベット仏教をテーマに取材を続けている。主な出版、写真集 『印度』全三巻、『西蔵』全三巻、『中國』全三巻(すべて毎日コミニケーションズ)他多数
更新日:2021.11.01