石川 武志写真展 「MUMBAI HIJRAS(ムンバイ・ ヒジュラ)」

☆【石川 武志 写真展 作品解説】■OM SYSTEM GALLERY内にて
※予約不要・参加無料   5月7日(日)14:00~15:00
スペシャルゲスト 性社会文化史研究者 三橋 順子 氏


 近年、ジェンダーとかセクシャリティーとかLGBTとか性の多様性が語られる機会が増え、社会のテーマになってきた感がある。そして世界には社会や文化が違えばジェンダーの性区分も_社会的役割も違う文化がある。ここで私が取り上げるのはインドやパキスタン、バングラデシュなどインド文化圏に広く存在する「ヒジュラ」というサードジェンダーである。

 「ヒジュラ」(Hijras)という用語はウルドゥー語やヒンドゥー語で、半陰陽者や両性具有者など、男性と女性の中間で両方の性を持ち合わせたような性区分の人たちの社会や個人を指す。実態的には男性で生まれ、女性に性別移行の願望がありながら女性であるとは主張せず、女性でもなく男性でもない自分は「ヒジュラ」だという。すなわち「ヒジュラ」とはインド社会特有のサード・ジェンダーである。

 インドのヒジュラの人口は正確な統計がないが10万人から20万人くらいが存在すると思われる。ヒジュラの特徴の一つとして集団で暮らし、集団はグルと呼ばれる母親役とチェーラーと呼ばれる姉妹で「ファミリー」と呼ばれる擬似家族を形成し、仕事上の縄張り(テリトリー)を持っている。都市部では多くのファミリーが集まり族長という意味の「ナイク」がいてインド中のヒジュラを組織化してヒジュラ社会を形成している。

 ヒジュラの生業で有名なのは「バッチャー・バダーイ」(赤子の誕生の祝福儀礼)と「サーディカ・バダーイ」(婚礼の祝福儀礼)である。これらヒジュラの祝福儀礼は、豊穣の神バフチャラー神の力を人間に与えるシャーマンとしての役割がある。またイスラムのヒジュラはイスラムの王の宮廷で元々トランス・ジェンダーの芸能者として庇護されていたこともあり、催しやお祝い事で歌や踊りを披露したりするなど、ヒジュラの伝統的役割は何千年という歴史を刻んできた。


【作家プロフィール】
石川 武志 Takeshi Ishikawa
1950年、愛媛県生まれ。1971年、東京ビジュアル・アーツ卒業
1971年9月 から1974年10月、W、ユージン・スミスの ミナマタ・プロジェクトでアシスタントを務める
1975年 3月 W、ユージン・スミスの「MINAMATA」の写真展や出版に立ち会うため渡米、以後フィリーランス
1980年 インドでヒンドゥー教の修行者「サドゥー」とインドのトランス・ジェンダー社会「HIJRAS」の取材を開始
1982年 写真展「YOGI」ニコンサロン新宿。1988年 写真展「HIJRAS」ミノルタギャラリー
以後、写真集・写真展等精力的に活動を続けている

【イベント詳細】
https://fotopus.com/showroom/index/detail/c/3840
開催日時
2023年5月4日(木) ~ 5月15日(月) 10:00 〜 18:00 最終日 15:00 まで
※休館日5月9日(火)・10日(水) ※入場無料
開催場所
OM SYSTEM GALLERY(旧 オリンパスギャラリー東京)
火曜・水曜定休、GW・夏季・年末年始の長期休業
160-0023 東京都新宿区西新宿 1-24-1 エステック情報ビル B1F OM SYSTEM PLAZA(旧 オリンパスプラザ東京)内
主催者
OM SYSTEM GALLERY ギャラリー事務局 
問い合わせ先
TEL:03-5909-0190(火・水定休)

更新日:2023.05.02